3人目

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「ヒッ……!」  原先生が息をのむ音が聞こえた。  本来はグレーに見えるはずのコンクリートの道路が、赤黒く染まっていた。  見覚えのある女性が、不自然に横たわっている。  手があらぬ方向に曲がり、結んでいた髪はほどけて黒い塊となっていた。 「す…須藤先生……」  そう呟き、原先生はどこかへ走り去っていった。  俺は視線をそらし、 「屋上の…鍵は……」  と佐伯先生に聞いた。  それに先生は答えず、中村先生がまたも首を振った。  俺はその意味が分からず、職員室に駆け込んだ。  各教室の鍵がかかっているその横に、屋上の鍵もある。  ___そのはずだった。 「………ない。鍵が…ない」  廊下に出て叫ぶ。 「中村先生が来たときには、もうなかったということですか!?」  中村先生は、こくり、と力なく首を縦に振った。  さっき首を振ったのはそういうことだったのか、と納得すると同時に思う。  誰が、どこに、どんな目的で………!?  俺の気持ちを読み取ったかのように、佐伯先生が言った。 「犯人の仕業、ですかね…。というか、それしかないですよね。こんな、わざわざ鍵を盗むだなんて」 「ええ、まぁ、そう考えるのが妥当でしょうね。……でも、きっと違うと思います」  
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