プロローグ

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「そんなことしなくても、じきに犯人は分かるんじゃないですかねー?」  と呟いて藤田先生は座った。  俺が何か言い返そうとした時、ガララ、と中村先生と須藤先生が来た。 「おはようございます」  ペコ、と頭を下げ、挨拶をする。  二人もすぐに手紙に気がついた。 「これなんですか?」  二度目の質問に答えるべく、俺は口を開いた。が、 「なんかねー、朝来たら置いてあったんだと。中の文が幼稚なもんで、いたずらじゃないかって新田先生と話してたんですよ、ね?」  藤田先生が説明をし、俺に問いかけた。  何が「ね?」だ。 と思いつつ、はい、と返事をする。 「そうなんですか」  二人はその説明で満足したのか、中身を確認した後は話題を広げようとしなかった。 「あの、明日は手紙の指示に従いますか?」 俺は控えめに中村先生に聞いた。 「そうですね。万が一のこともありますし、もしその場に手紙を出した本人がいるのであれば、直接話を聞いた方が早いと思うので」  俺は内心ガッツポーズをした。  藤田先生が納得のいかない顔をしているが、俺は味方を一人得たので安心した。 「やはりですか。僕も明日は来ようと思っていたんです。あ、須藤先生はどうされます?」  こちらに目も向けず作業をしていたので聞きにくかったが、声をかけないと後で何か言われそうだ。  そんな気持ちで問いかけた。 「皆さんが行く、と言うのであれば、私も行きます。手紙は私にも届いているので。こういう場合の担当は新田先生と村井先生でしょう?後の判断はお二人に任せます」  いい加減だな、とも思ったが、言い分は合っている。  生徒指導の担当は俺と村井先生。  二人で決めていいと言うのなら、村井先生が来たときにまた話をしようと思い、 「そうですか。分かりました」  と返した。
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