日常の中の不思議

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 日常の中の不思議

私は今ペンを手に取りこの文章を書き綴っている。世間は情報化社会へと進み手書きで文章を綴る人間が少なくなっているが、私は一人ひとりの個性や温かみのある手書きの文字が好きなのだ。そうはいっても私の字は決して上手いと言えたものではない。担当の編集者である若宮くんは、はじめの頃私の字が読めたものではないから、手書きではなくワープロで文章を書いてほしいと何度も言ってきたものだ。しかし私も頑固な人間ゆえ手書きで文章を書き続けている。今日こう文章を書こうと思い立ったのは新しい万年筆を手に入れたからだ。新しい何かを手に入れたときすぐ使いたくなってしまうのが私の性分なのだ。とは言っても特段書きたいことがある訳でもないからこうしてこんな何の意味もない駄文をちんたらと書き続けている。そういえば、昨日気分転換のために公園に散歩に出かけた。朝早くに行ったため、誰もいないだろうと思っていたのだがそこには先客がいた。ベンチに一人座っている少女がいたのだ。少女といっても高校生ぐらいの子だ。彼女はベンチに座りバナナを食べていた。なぜ彼女が朝早くに公園のベンチでバナナを一人で食べているのか私にはその理由は分からなかったが、そうそう見ることのない光景ゆえ物書きをしている私は興味を持ってしまい、さりげなく遠くからその様子を見ていた。今思えばストーカーのような行為だったと少し反省している。
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