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莉子から、柚葉の話は聞いているだろうから。
「柚葉なら大丈夫だから。俺が保証する。それに…そうだな、品定めと言うより、柚葉に会いたくて仕方ないんだろう。」
そう言って、駆琉はシャワーを浴びに行く。
駆琉がシャワーを浴びているうちに、準備を済ませたらしい柚葉は、難しい顔でリビングのソファに座っていた。
「柚葉?出かけられる?」
何やら夢中になってスマホを見ているようなので、後ろから覗くと、『彼の両親へのご挨拶』というトピックを見ているようだ。
駆琉はひょいっとその携帯を取り上げた。
「ん?えー、なになに?初対面の場合の挨拶例?すごい記事があるんだな、今は。」
「きゃーんっ!!駆琉さん!だめですぅ…返してくださいっ。」
「いいか?こんなのはいらない。自然な姿で柚葉は十分に可愛いし、うちの両親にも気に入られるから。」
「うー…だって…緊張してしまうんですもの。」
「普通の親だから、大丈夫。それよりお腹空かないか?」
自分のお腹に手を当てて、柚葉は首を傾げる。
「お腹、空きました。」
「オムハヤシ、食べたい?」
「食べたいですっ!」
「じゃあ、ほらカバンを取っておいで。観覧車にも乗るんだろう?一緒に行こう。」
「すぐ取ってきます!」
ぱたぱたっと駆け出す柚葉を見ながら、駆琉は笑って声をかけた。
「急がなくていいからな。慌てると転ぶぞ。」
「もう!そんな子供じゃありません。」
と返事が返ってくる。
くすくすと駆琉は笑う。
こんな風にずっと過ごしていけたらいいのに。
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