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ギリセーフ。出入口に近い席に着いて、すぐに先生が入って来た。と、同時に俺の側のドアが開いて誰かが入って来たので仕方なくひとつ奥へ席を移動した。
誰だろうと 横目でそいつを見ると………さっきの桜を見てたやつだと分かった。
また、心臓が跳ねる。
ドキドキうるさい。
講義の内容が全然入ってこない。
神経が全部隣の人へいってる。
遼太………遼太……助けて…………
「君、ね、君、大丈夫か?具合悪いなら保健管理室に行くか?」
「え?」
「もう講義終わったけど。顔色が悪い。真っ青だ。行こう」
いつの間に終わった?
力が入らない俺をいつの間にか背負ってくれるこの人は………誰?
頭が働かない。身体が言うことを利かない。力が入らない。声が………出ない。
「和巳!!」
「…………りょ……た」
遼太が来てくれた……遼太……遼太………僕、どうしたんだろう……。
「友達?」
「あの、和巳 どうかしたのか?」
「ああ、なんか凄く具合悪そうで、顔色もよくないから保健管理室に連れていこうと思って」
「そうか。ありがとう。後は俺がやるから」
ほら 和巳 と遼太の背に乗る。
僕はギュッと遼太にしがみつく。
「お大事に」
そう言って去って行こうとする人を遼太が止めた。
「待って!名前、名前教えて。俺は久我山 遼太。こいつは香月 和巳」
「俺は 棚橋 岳。よろしく。じゃあ」
と言って行ってしまった。
「和巳。大丈夫………じゃないよな。それにしても…………はあ。似たやつは三人居るとか言うけど、顔………っていうか……いや、顔も多少似てるけど雰囲気が似てるな」
保健管理室じゃなくて、校内のベンチに座る。
「…………響ちゃん」
俺のひと言に遼太がポンポンと背中を叩いた。落ち着くまで遼太にもたれ、慰めてくれる。
久しぶりに不安定になりそうだ……とぼんやり思った。
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