始まりの悲劇

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始まりの悲劇

「あー新学期めんどくさいなぁ……」 私は晴天の空を見上げる。 「好きな人とはクラス離れちゃったけどいいことあるかなぁ…あっ!」 私の目線の先には、見覚えしかない背丈の男子が歩いていた。 「コウイチだぁ!」 そう、これが私の好きな人、コウイチ。 まさか新学期早々コウイチに会えるなんて! 私は嬉しくなって手を振る。けど……あれ?気づいてない…? 気づいていないなら仕方がないので「コウイチ!!」と言って駆け寄る。 「うわ……お前かよ」 あからさまに嫌そうな顔をしたコウイチ。 なんでこんなに不機嫌そうなんだろ…あ!わかった! 「コウイチも新学期がダルいんだよね〜?わかるよ〜その気持ちっ!」 少しでも気分を明るくしてあげようと、私は笑顔で共感してあげた。 「うっせーな、ちげーよ。お前と一緒にすんな」 「またまたぁ〜」 「何言っても無駄だなお前」 もーツンデレだなぁコウイチは!でもこういうところが好きなんだよね〜 いつもクールな感じなのにたまにすごく優しいの! 修学旅行の日のこと。色々あって泣いている私にポケットティッシュを差し出してくれた時に彼の優しさを感じ取った。 当時は「目の前で泣いてる人に渡すために」って言ってたけど私だけ特別なんだと思う! だって「これ渡すのお前が初めてだよ」って言ってたもん!きっと私を1番にしたかったんだろうなー そんなたまに見せる優しい所に惹かれた私だけど、まだ告白はしてない。 新学期でコウイチと同じクラスの女子から人気が出たらどうしよう…私以外の人が彼女になるなんて許せない! ……ん?なんか遠くから誰かが走ってくる音がする……誰だろ? 「おーい!コウイチ!」 うげっ!コウイチの友達じゃん!あいついつも遅刻してくるくせにどうして今日に限って遅刻せずに来るわけ!? 「おぉ、お前、今日は遅刻しなかったんだな」 「そりゃ新学期早々遅刻はやべーだろ‪」 「はは、確かにな」 「だろ?」 楽しそうに話す二人。 私、まだコウイチと全然話してないのに! 「なぁ、クラス同じだったし一緒に行かね?」 コウイチ!何言ってるの!?私とは行かないの!? 「おっ!コウイチからお誘いとは珍しい!いいぜ〜一緒に行こう!」 「さんきゅ」 二人はあっという間に行ってしまった。 「あーあ、コウイチともっとおしゃべりしたかったなぁ……あの友達ほんとなんなの!?タイミング悪すぎ……ムカつく〜」 そして私もとぼとぼと体育館へ向かう。 「はい、えー各担当の教科の先生を紹介します」 校長先生がそう言った途端に、生徒たちがヒソヒソと話し始めた。 「担任誰だろう?」 「あの女の人がいいな、優しそう」 そんな声が聞こえてくる。 いろんな先生の名前が呼ばれた。 発表される度、生徒たちはキャーキャー騒いでいて「えー最悪!」やら「よっしゃあ!」などという声が聞こえてくる。 「続いて3年4組担任…」 「あ!私のクラスだ!」 誰が担任なんだろう? 知ってる先生がいいな…。 「マッツゥ・ンコ先生。英語担当です」 えー!何その人!超きもい名前じゃん! みんなも「え、ウンコ…?きも…」って言ってるし! もう最悪ー! こんなめちゃくちゃでこの先の学校生活どうなっちゃうのー!?
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