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形から入らない
夢に答えがある世界にいるから
座る椅子がない
みんなは椅子に座って、私がうろつくのを見ない
そういう世界にいると着る服がなくなるのです
さすがに裸で外に出るわけにはいかない
誰も見ないけど
大昔に一度だけ席が隣だった男の子は喋ったこともないクラスメートの女子が好きで
短髪の彼女と彼が話せるように色々工夫したこと
善悪どっちにカウントされるだろう
夢の予兆はとびきり悪い
腕は体から離れて砂埃の校庭をごろごろと遠くまで転がる
それでも思う通りに動かせるのが良い兆しであるわけもない
誰にも思い出されない夜は早く眠るに限りますが
これから先はずっとそんな夜が続く
縁の欠けた茶碗が水で満たされた一瞬の記憶が
あるだけいいだろ、と枕の下から喚き
でも私が欲しかったのは、紅茶
あの紅茶なんだよね
素敵なティーカップから、薔薇の香りの湯気が立つ
そのカップを描写する能力がない
文章に書けない絵に描けない話そうとして話せない
夢の中でそれはただの素敵なティーカップだから
早く眠る 解決方法
枕は涙を吸い込んで水没したってくらいに重くなり
腕だけ動いても校庭には誰もいない
抱きしめたい人が誰か
夢ではその人を思い出せなくて
起きたらその人は存在しない
今日も間抜けづらでうろついて早く眠って
免疫力など高まる日々
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