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再会
雨が降り出し、風が強くなってきた。雲の所々がピカピカ光る。
ドーーーォォォッン!!!バリバリバリバリバリッーーー!!!
地響きと共に閃光が辺りを覆い、稲妻が直ぐ近くに落ちた。すると空を渦巻いていた雲が一気に晴れて、雲ひとつない青空に変わる。青空と言っても、藍色の空。もうすぐ星が瞬き始めるだろう。宵の明星を一番最初に見つけるのは誰だろう。
清々しいほど晴れ渡った空を見上げていると、稲妻が落ちた方向から何やら妙な音がし、バレーボールほどの大きさの影が飛び出してきて、虹に体当たりしたと思ったら、こちらにピンボールのように飛んできた。
「ゴールド!シルバー!!」
黒が嬉しそうにその名を口にした。
その名の通り、腕に乗るほどの、背に羽の生える金と銀のドラゴンがくるくるとわたしたちの周りを飛び回る。この子たちも、金がゴールドで銀がシルバーという名だろうか。黒がつけた。
ゴールドがわたしの肩に止まり、シルバーが黒の肩に止まったところで、虹が再び口を開いた。
「今日はここまで。明日、星を案内する。白は覚えていないだろうが、昔お前が運命を司っていた星だ」
少し寂しそうに微笑む。
その表情に、どこか安心感を覚え、同時にどうしようもない不安が胸を支配する。
「今は...」
わたしの振り絞るような声での問いにはハッキリと答えず、リボンのように解ける前と同じ、卵のような光のベールでわたしと黒を包んだ。
「また明日」
目を覚ましたときのように、卵のような光の中には黒とわたし。でもそのときと違うのは、金と銀のドラゴンが一緒にいるということ。
「とりあえず、明日まで寝るか」
黒が後ろからわたしを抱きしめたのだけれど、ゴールドに蹴飛ばされ、シルバーに尾で頭を叩かれた。その後は、黒とゴールドとシルバーでの追いかけっこが始まり、寝るにしてはずいぶん賑やかな空間になった。その光景を見ながら、わたしは思いを馳せる。明日見ることができるこの星の様子。昔、わたしが運命を司っていたという星。あの虹のことを。
わたしは彼を知っている。本能がうずく。彼について行けばいい。彼はすべてを知っている。過去のわたしも、今のわたしも。
彼が、この星を見守り導く存在。あるときは太陽のように、時に月のように。おそらく、かつてのわたしにとってもそんな存在だったはずだ。本能が、そうわたしに訴えかけているから。
彼は、この星をそのものだ。
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