大きな栗の木の下で

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 「お婆ちゃん、出かけてくるね!」  「ちゃんと4時には帰って来るんだぞ〜。」  「はーい!」  小学校三年生になった私はもう、お姉さんだから大丈夫!  私はスキップをして目的地へ向かった。    私は、田舎のお婆ちゃんの家に行くと決まって栗の木に行く。  それも大きな大きな栗の木。  お婆ちゃんにもお父さんにもお母さんにも、行っちゃだめだって言われる。  理由は簡単、危ないから。  でも、私にはそれ以上に行きたい理由がある。  それは今私が、絶賛片想い中のあの人がいるから。  「ごめん、ちょっと遅れた!」  「いや、まだギリギリセーフ」  「良かったー!」  そう言うと私たちは栗の木の中に入って、お喋りをしたり、鬼ごっこをしたりする。  彼は私と同い年で、この辺に住んでいるらしい。  あたりが暗くなって、もう帰らなくてはいけない時間になるとまた会う約束をする。    そんななんでもないことが、私は好きだった。    しかし、それは長くは続かなかった。
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