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バスの中では、何故かしりとりが始まり、最終的にタッくんと五丁目さんとうたうものさんか生き残ったが、三人のデッドヒートは旅館につくまでに終わらずに痛み分けとなった。大人にょたは、そういう遊びにいつも真剣だ。
飲み物は用意してあったけど、毎年旅館のご飯が美味しいから、食べ物はバスに持ち込まなかったからお腹ペコペコ。でもやっぱり先に温泉入りたいよなぁ。
旅館には先にアッキーたちが着いていた。広間でアッキーとマッキーがお茶をしている横に檻がある。
「出せーー!!お前ら上司を閉じ込めるなんでどういう了見だよ!」
見事、作戦通り。去年は旅館についてから伊織先生を檻に入れたが、今回は車に乗った時点で閉じ込める段取りだ。その方が伊織先生の余計な行動を制御できる。
「よし!ほんもの女子とらぶちゃん、ヴェアくん、お風呂いくよー!」
更紗さんの号令に束砂さん、はろんさん、薫蘭風ちゃんがおー!と手を挙げた。今年も動物もお風呂に入れる旅館だからちょっと嬉しい。
ただ、ほんもの女子の入浴時間は伊織先生はまだ大人しい。ほんもの女子怒らせたら復讐怖いの自覚してるんだろうね。
「今年のお風呂も良かったーー!ってまたしりとりしてるの!?」
ほんもの女子が戻るまで、また大人にょたがしりとりを始めたが、やはり勝敗は決まらない。その横で伊織先生が吠えている。
「お風呂は覗くためにあるんだよーー!!」
「瑠璃、チェーンを巻くぞ!」
タッくんの提案に頷き、みんなで伊織先生の入った檻をチェーンでぐるぐる巻きにする。隙間一つ見えないほどに。
「ちょっと!暗い!暗いよ!灯りぐらいちょーだいよ!」
そんな風に叫んでいるのが俺たちの雇用主だが、こんなことで怒る玉じゃないからほっぽって、俺らにょたチョコ男子は温泉に向かう。何故か毎年にょたチョコ男子が女湯に入るときに男たちも男湯に入る。
今年はお風呂用のおもちゃを持ってきていて、デカいアヒルを温泉に浮かばせてみる。げたんわくんがアヒルに乗ろうとして、派手に水面に転げた。
「げたんわくんの下手くそーー」
「なら瑠璃乗ってみろよーー!」
げたんわくんに煽られて俺が乗る。うまくバランスが取れて、げたんわくんよりは長い時間乗っていたが、やはり転げてしまう。
「若い子は元気だねぇ」
うたうものさんかしみじみ行ったが、まだしりとりは続いている。
「瑠璃ーー、楽しそうだねーー」
男湯のほうから親父の声が響く。
「親父たちはーー?」
「お父さんたちは、瑠璃たちの声でのぼせてしまいそうだよ。アヒルさんになりたい……」
よし。ほっとこう。
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