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1話
「…お前が、この国の王か。」
「ひぇ…ち、ちがいます…おれじゃないですから見逃してくださいぃ…」
隣国の王が自分の城まで攻めてきたことを悟り、降参の意味を込めて両手を上にあげた。
「とぼけるな。
…ふん、こんな奴がここの王なのか。案外弱そうな奴だ。」
「よ、弱いですからっ。生きていても意味がない糞ですから殺さないでくださいっ!」
これで俺は死ねる。
死ぬのならこの国も一緒に滅んでしまえ。
そう考えて、勝てないであろう隣国に戦争を仕掛けた。
「言葉が矛盾しているな。
……お前らは別を当たれ。殺すなよ?
俺はこいつを始末する。」
「「はっ!」」
やっと。やっとだ。
俺を慕ってくれた部下達には申し訳ないが、先に逝かせてもらうよ。
銃口を突きつけられ、覚悟を決めて目を閉じる。
だが、いつまで経っても痛みはなく、銃声も聞こえてこない。
不思議に思って片目を開くと、ニヤリと不気味な笑みを浮かべた隣国の王が立っていた。
「ははっ、イイ顔だ。
お前、俺好みの顔してんだよなぁ。殺すには勿体ない。」
「……へ?」
「やっぱお前、俺の奴隷になれ。拒否権はない。」
「…は?」
「あ゛ぁ?」
「ひっ、なんでもないです!なりますからぁ…」
こうして、死にたかった俺は何故か隣国の王の奴隷となることになった。
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