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3話
そして、その2年後に冒頭に戻る。
俺の国は終わった。だが、あんなに迫真の演技をしたというのに殺されなかった。
「…なんだ、カジも捕まったんだ。」
カジ「スズキに謝られながら捕まった。アイツのせいじゃないのに。
……でも、謝ったってことはオレのこと好きじゃなかったのかもしれんな。」
「それはどうだろうな。」
兵「無駄口を叩くな。」
「サーセン。」
カジ「すんません。」
兵「チッ、王が殺さなかったからって、助かったと思うなよ。」
見張りについている兵に銃を向けられて、内心では嬉しくなる。
もう何でもいいから殺してほしかった。
だが、またもや死亡フラグがあの男によって折られてしまう。
「俺の命令を無視しようとしているのはお前か?」
兵「総統!で、ですが…」
「ですがも何もない。俺の命令は絶対だ。」
兵「っ…分かりました。」
見張りの兵が向けていた銃を隣国の王が下ろし、座らされている俺らの前に屈み込んだ。
総「どうせ死にたくて態と煽ったんだろう。
スズキから話は聞いていたが…本当に死にたがり男だな。」
「…知っているならさっさと殺してくれればいいのに。」
総「そういう訳にはいかないな。
先程も言ったろう、お前の顔は俺好みなんだ。」
カジ「おっ、オオシマにもやっと春が来たのか。」
「うっさい、黙れ。そんなんじゃないだろ、きっと。」
総「どうだろうな?
それは今は良いとして…お前、スズキの恋人だったよな。」
カジ「え、オレですか?
まあ、戦争する前はそうでしたけど、今アイツがどう思ってるかは知らないので断言は出来ません。」
総「フム、そうか…
ではスズキ。お前はこの男の事が好きか?」
スズ「は?当たり前でしょう。今更何を言っているんですか貴方は。」
いつの間にか先程の兵士は居なくなり、代わりにスズキがカジの傍に立っていた。
総「…だそうだが?
お前は優秀だと聞いている。これからは俺の国で働いてもらうぞ。」
??「あ、じゃあ俺も一人連れていって良いですかね。」
部屋の入り口から声が聞こえ、視線を向けるとタナカとサトウを連れた男二人が立っていた。
キン「俺、キンジョウです。サトウさんって言うんですね、可愛いなぁ。
俺専属の保健医になりません?」
サト「え、ちょ…っ!?」
総「無理矢理はいかんぞ、キンジョウ。相手が困っているだろう?
だが保健医は欲しいな。医者の知識はあるのか?」
「この国一の医者だよ。使ってやってくれ。」
スズ「ええ、彼の言葉は本当ですよ。
下手したら俺らの国の医者よりも知識があるかもしれませんね。」
総「それなら決定だな。後は…イトウ、お前も連れていきたいのか?その…女。」
タナ「女違うわ!これでも成人男性なんですけどっ!」
イト「コイツ、顔は女の割にめっちゃ強いんすよ。
なんでも騎士団団長らしくて…いいっすよね。」
総「これだから戦闘狂は…」
スズ「貴方が言えないですね。」
タナ「僕パワーでは負けたけど、スピードでは敗けへんで?」
イト「おっ、言ったな?じゃあ国に戻ったら模擬戦しよーぜ!」
「……自由だな、コイツら。」
カジ「だな。」
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