5人が本棚に入れています
本棚に追加
4話
総「では、連れていくのはこの四人だけでいいな?
ここの土地はモリに見てもらうことにしよう。」
スズ「ではモリさんに連絡しますね。あの人が来たら俺らも飛ばしてもらいましょうか。」
スズキ君がモリという人に電話を掛け終わると直ぐに、部屋に一人の男が現れた。
総「この国民の前で説明という名の勝利宣言をしてくるから、イトウとスズキはコイツらの見張りを任せたぞ。逃げないとは思うが。」
「「了解、総統!」」
総「モリは俺に着いてこい。キンジョウはミヤギを呼べ。恐らく、この城の何処かには居るだろう。」
「「了解、総統!」」
三人が部屋を出ると同時に、スズキ君がカジの元へ寄る。
スズ「手、痛くないっすか。」
カジ「大丈夫だ。ありがとな、心配してくれて。」
カジが笑みを浮かべた為、スズキ君の顔が真っ赤になる。
「おいカジ、顔が緩んでるぞ。」
カジ「別にいーだろ。スズキの可愛い顔が見れたんだし。」
「コイツ、両想いって確認した途端これかよ。」
その傍では、イトウと呼ばれていた男とタナカが何やら話をしていた。
イト「悪いが、今だけ縛っておくな。」
タナ「ん、分かってる。」
イトウがタナカの愛刀を回収して手首を背中で縛る。
タナ「それ、僕の大事な刀だから大切に扱えよ。」
イト「当たり前だろ。愛用の武器は命よりも大事だからな。」
…やっぱりコイツらは戦闘狂だな。
隣国の兵達が自由に動いている所為で、緊張感が薄れていく。
スズ「あの、王…」
「ん?もう王じゃないから名前で呼んでよ。タメでも良いし。」
スズ「貴方の方が年は上なんで、タメは無理っすね。
それより、もう戦争は終わったんですから、真実を教えてくださいよ。
……貴方が死にたがってる訳を。」
カジ「……」
タナ「……」
サト「………」
「……分かった。いいよ。」
カジ「…!?ちょ、良いのか?」
「もう隠すことじゃないしね。確定ではないけど、多分呪いも取れてる。」
俺は、ことの成り行きを全て話した。
30になると死ぬ呪いに掛かっていること。
自分では死ねないようになっていること。
王の血族だけがこの呪いに掛かること。
だから祖先を残す気が無かったということ。
全てを話し終えるとスズキ君が泣きそうな顔をしていた。
「そんな顔しないでよ。もう呪いは解けたんだし。」
タナ「ほんまか!」
「多分、だよ。」
総「それな、もうお前が死ぬことは無いんだな。」
「寿命以外ではね…って、うわっ!!」
当然のように返事をしたが、後ろからここには居ない筈の男の声がした。
「っ、いつの間に…!?」
総「モリの転移で来た。そう驚くな。」
「えぇ…」
総「国民への説明はもう終わった。帰るぞ。」
腕を捕まれて立たされると、先程のモリという男が部屋の中に魔法陣描いていた。
モリ「よし、出来たぞー。」
総「では我が国に帰るとしよう。この土地を頼むぞ。」
モリ「はいはい。できる限り頑張るよ。」
隣国の王を筆頭にして、俺ら四人も魔法陣の上に乗る。
眩い光と共に魔法陣が発動し、俺らは隣国へと転移する。
隣国は物凄いスピードで発展していると聞く。それも、この王が頂点についた時からだ。
それ程までに凄い男なのだろう。……俺とは大違いだ。
光が消えると、何処かの中庭らしい場所にいた。
総「スズキとイトウは軍に二人を案内しろ。キンジョウは他の医者達に紹介を。
俺はまずコイツを部屋に連れていってから勝利宣言をする。」
俺以外の三人の縄を外し、それぞれの場所へと散っていく。
隣国の王に引きずられるようにして、俺はとある部屋に連れてこられた。
総「ここは俺の部屋だが、今日からお前もここに住め。」
「…分かった。」
総「オオサキ。」
「えっ…ん!?」
名前を呼ばれて振り向いた途端に顎を掴まれ、唇に違和感が。
現実逃避をしようにも出来ない距離に隣国の王のかおがある。
腕を後ろで縛られているため、身動きも出来ない。
そういえば二十数年も生きているけれど、生まれて初めてのキスだ。
そう考えてしまうと顔の火照りが治まらない。
総「…大人しく待ってるんだぞ。」
「っ、ぅ……」
今まで注視していなかったが、この男は顔が整っているのだ。
町を歩けば全員の女性が振り向くような顔立ちなのだ、言葉が出てこなくなるのも無理はないと思う。
隣国の王が部屋から出た途端、膝から崩れ落ちた。
「っ……何なんだ、今の…」
暫くそこで動くことが出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!