5話

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5話

総統side 勝利宣言を終え部屋に戻ると、オオサキが居なかった。 まだ縄を解いていないから逃げることは難しい筈…と考えていたら、ベッドの横の地面に座り込んでいた。 「ぁ…おかえりなさい。」 「…ん。」 立とうとするオオサキの腕を掴み、立たせてやる。 そしてそのまま彼の背後に周り、縄を刃物で切った。 「赤くなっているな。」 「ほんとだ。あんまり動かないようにはしてたんだけど…」 「一応、見てもらいに行くか。」 「いや別にこのくらいで……」 「いいから行くぞ。それとも、俺に逆らう気か?」 「い…や、違うけど…っ」 二の腕を掴んで顔を近づけると直ぐに赤く染まっていく。 コイツの下っ端の兵からは、女遊びが激しいと聞いたが、どう考えても初な反応からは経験が無いように見える。 コイツの噂がどこまで嘘なのか。そして、どこまでが真実なのか。 彼は本当に無能なのか。 これらの件を見極めなくてはならない。 医務室に着くと、既にサトウという男が働いていた。 「…もう働いているのか。すまんが、コイツの手首を手当てしてくれ。」 サト「オオサキさん!と、総統さんでいいでしょうか。 弱いとはいえ、私たちの軍で怪我をしてしまった方もおられますからね。」 オオサキの手首をみて直ぐにテキパキと手当てをしていく。 サト「はい、これで大丈夫ですよ。」 「ありがと、サトウ。」 キン「なぁサトウさーん、俺にも構ってよー。」 同じく医務室に居たキンジョウがサトウにちょっかいを出していた。 コイツ、一目惚れでもしたのか?珍しい。 サト「少し待っていてくださいね。患者さんが第一優先ですからね。」 キン「俺も現在進行形で心の傷負ってるよ。」 サト「心の傷は私には治せないのでカウンセリングの人を当たってください。」 キン「……チッ。」 サト「仕事が終わったらお相手させてもらいますよ。 なので先ずは自分の仕事から終わらせてきてくださいね?」 キン「分かった!終わらせてくる。」 「……へぇ、アイツの扱いが上手いな。」 サト「ふふ、なんだか可愛らしくて。」 走って自分の仕事に向かったキンジョウの後ろ姿を見て呟いた。 総「あー、まぁ…表向きは確かに可愛いが… 気を付けた方が良いぞ?色んな意味で。」 サト「……?はい?」 「意味分かってないな、これ。」 「サトウは純粋だからね。恐らく狙われている事にも気づいてないよ。 てか煙草吸いたい。サトウー、持ってない?」 サト「ダメですよ。 私も持っていませんし、何しろ貴方吸いすぎて肺が悪くなってるっていうのに。」 「別にいいだろ。どうせもう長くはない…ぁ、そっか。」 クセなのだろう。呪いがあるからどうせ死ぬ、と。 その考えを直させないといけないな。 なんせ俺が気に入った男だ。直ぐに死んでもらっては困る。
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