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6話
主人公side
「チッ、持ってないのかよ。…じゃあアンタは?」
総「俺も持ってない。」
「……カジどこにいるか分かる?アイツなら持ってるでしょ。」
サト「こらこら、そこのヘビースモーカー。
そろそろ禁煙しなさい。」
「えぇー。」
総「…禁煙って、煙草の他に何か代役を作ればいいのか?」
サト「ええ、そうですね。例えば、飴玉とかガムとかはよく使われます。」
総「ならこれで充分だな。」
飴玉を持っているのかと期待したが、隣国の王ー総統ーが俺にくれたのは軽いキスだった。
「っ…は!?」
サト「おや、これなら煙草も飴玉も要らないですね。」
総「煙草が恋しい時は俺に言え。紛らわしてやる。」
「だ、誰が言うかっ!!」
顔をそらすが、耳まで熱くなっているから意味がない。
だが恥ずかしくて、そうするしか出来なかった。
総「………やっぱお前、初めてだろ。」
「なっ、違う!」
サト「まぁ今まで子孫を残してはいけなかったですからね。産まれてきた子供にも同じ苦痛を受けさせたくないという優しさですよ。」
総「では矢張り、女癖が悪いというのは故意に流した嘘か。
もしまだ呪いが残ってたとしても、俺となら子孫は出来ないから安心しろ。」
「っ……やっぱりそういう意味かよ、奴隷って。」
総「だから俺の許可なく死ぬなよ。」
「……せっかく話を逸らしたのに、その話しないでよ。
別に、もう死にたいとか思ってないよ。」
総「それならいい。お前は俺のだからな。」
「まぁ、俺はお前の奴隷だからね。
お前が捨てない限りは俺はお前のものだよ。」
先程のキスで「そういう意味」なのは知った。
だが、こんな無能を傍に置く理由がわからず、疑いの目を向けてしまう。
だから、言葉にして欲しいのだ。
俺は愛されてもいいのだと。
総「捨てる訳ない。お前を奪うために戦争を受けたようなものだからな。」
「えっ。」
総「せいぜい俺に骨抜きにされないよう頑張ることだな。」
「っー!!」
総「さて、手当も終わったことだし、部屋に戻るか。
充分可愛がってやるよ。」
「クソ…いらんっていっても離れないからな。」
照れ隠しでそう言い放つ。
こうして、生きることを諦めていた俺の第二の人生がスタートした。
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