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2話
「先ずは俺から行くので、その後はよろしくお願いします。」
頷いたのを確認し、一人で部屋に入る。
逃げてはいなかったらしく、王座に王は座っていた。
王「田中よ、どうした。」
「はっ。既にここ以外は敵が侵入している模様です。今すぐお逃げになられた方が良いかと思われます。」
膝まずき、頭を垂れて報告をする。
すると後ろから総統がドアを蹴り飛ばして部屋の中に入ってきた。
それに合わせるように立ちあがり、彼に銃を向ける。
「おおっと。今は撃たないでほしいね。俺はその後ろの王を殺さなければならないのだからな。」
王「田中は俺の後ろで援護しろ。コイツは俺が吾やる。」
「はっ。」
傍から王が通り、総統に向かっていくのを確認して、もう一度銃を構える。
王が銃を向けた瞬間、短い呻き声と鈍い音が響いた。
王「っぐ…たなか、何故……っ。」
「……貴方の暴君振りには皆うんざりしているんですよ。」
総「よくやった、泊。」
「…ありがとうございます。」
王「す…パイだったのか…?」
「違いますよ、裏切っただけです。
上司を選ぶ権利くらいは俺にもあると思うので。」
総「言いたいことはそれだけか。泊、止めをさせ。」
「ええ、そのつもりですよ。この国の事は俺がかたを付けないといけないので。」
既に胸から大量の血を流して倒れている王に、もう一度銃を構えた。
話すことすら出来なくなって呻いているが、容赦はせずに弾を頭部に撃ち放った。
発砲音が止むと、部屋には静寂が訪れる。
総「…よくやった。矢張りお前は俺の秘書になれ。」
「別に構いませんが…今までも秘書やってきましたから。
でも何故その役職にこだわるんですか?」
総「王の悪い噂は聞くが、国が保たれているのは誰か優秀な人材が支えているということだ。内通者に調べさせればすぐに分かる。」
「それが、俺だと?」
総「ああ。丁度右腕が欲しいと思っていた所だからな。
情に負けずに物事を判断できる所も評価しているぞ。」
「はあ、そうですか…」
では今俺にとどめを刺せと命じたのは、判断力を見るためだったのか。
思わず嫌な顔をすると、鼻で笑われる。
総「そう嫌そうな顔をするな。これから長い付き合いになるのだから。」
「…そうですね。
本当に、俺らを引き受けてくれるんですか。」
総「無論だ。俺の国の軍に入ると挙手するものは快く受け入れよう。嫌なら強制はしない。」
「仕事がなくなると困るので、断る人は少ないと思いますが…
……ありがとうございます。」
総「その為に殺さずに多少の怪我だけで留めておいたんだ。皆、王を嫌っていたのだろう?」
「はい。……そういえば、内通者がいたんでしたね。
一体誰だったんですか?」
総「ああ、それは……丁度来たな。アイツだよ。」
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