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5話
姫野さんが縛られている女性にシーツをかけ、担ぎ上げて部屋から出ていく。
それと同時に、深い溜め息が漏れてしまった。
「はぁ……朝から大変ですね。」
総「泊が俺と付き合えば、こういうことも少なくなると思うんだがな。」
「そ、それは……」
俺が総統に抱いてしまった感情を見抜いたうえで、わざと言っているのだろう。
総「俺は、泊の口から聞きたいんだが?」
「っ、そう言われたって……」
総「なぁ、泊。」
「……狡いですよ。
総統、絶体わざとやってますよね。」
総「お前が堕ちてくるのをいつまでも待てる自信はあるが、俺も男だからな。」
腰に手をまわされたかと思うと、すぐに下に降りていき俺の尻に触れた。
「ちょ、総統!!」
慌ててその腕をつかみ、距離をとる。
恐らく今俺の顔は赤くなっているのだろう。
総「分かりやすい反応だな。」
「そんな変態じみたことしないでください。勤務中なんですから。」
総「俺はまだ勤務中ではないが。」
「じゃあさっさと着替えて仕事してください!
俺は起こしたので次の仕事にいきますからね。」
吐き捨てるようにそう言って部屋から出る。
全く、困ったものだ。
こう毎日告白を受け取っていれば、誰だって落ちてしまうだろう。
「…せめて、もう少しだけ気持ちを整理してから……」
誰もいない廊下に、自分の独り言だけが静かに響いた。
総「……もう少し、か。まぁ、気長に待ってやるよ。」
ドアの向こうの声を聞き、総統がそう呟く。
だがその顔は不敵に、そして楽しげに笑っていた。
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