5人が本棚に入れています
本棚に追加
悪魔との契約
――とある国の、邸の地下――
『我を呼んだのは、お前か。』
「…はい。私が貴方樣をお呼び致しました。」
震える声を押さえつけて、静かに肯定する。
目の前の魔方陣から現れた男は、人ならざるもの。一般的には悪魔と呼ばれ恐れられる存在だ。
『人間風情が我を呼べるとは…ふむ、相当な魔力量だ。
して、お前の望みは何だ。何を差し出せる?』
怪しげな笑みを浮かべる男。
それだけで地下の室温が下がったような気がして、背筋に冷や汗が伝った。
「私の望みは、今現在起こっている戦争に勝つことです。
それが叶うのならば、私がもつ全てのものを差し出します。」
『我は金や権力は興味がない。』
矢張り、何も持たない私では見返りが渡せないのか。あの人の為なら、肉体や魂だって捧げるのに。
『断る……と言いたいところだが。
良いだろう、見返りは、お前の全てだ。』
最初のコメントを投稿しよう!