6.幸せの階段

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彼の手が私の胸元に伸び、身体をビクリと震わせた瞬間。 ブブブブブ・・・。 市谷さんのスマホが、テーブルの上で着信を知らせた。 「・・・。」 「・・・。」 なんともいえない雰囲気で、二人でそのまま動きを止める。 (こういう展開、多いよね・・・。) チラリと市谷さんの顔を窺うと、予想通り、恐ろしく苛立った表情。 「桐島だったら、出ない。」 「ええっ!?」 そう言いながら画面を確認した市谷さんは、ため息をついて通話ボタンを指で押す。 「・・・はい、おつかれさまです。」 かしこまって話し出す市谷さん。 どうやら、電話の相手は龍平くんではないらしい。 「・・・はい・・・はい・・・それは・・・。」 込み入った話になると思ったのか、市谷さんは電話をしながら手で「ごめん」のポーズをとると、寝室の中へと入っていく。 しばらくぼーっと待つものの、一向に寝室のドアが開く気配はない。 (長くなりそうな感じだよね・・・。) そう判断した私は、自分のスマホを取り出して、最近お気に入りのパズルゲームを起動する。
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