6.幸せの階段

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「そんなことないよ。仕事もがんばってるだろ。 OLのときのこと言ってるなら、昔のことじゃないの?」 実際の私よりかなり甘く評価されている気がして、少し恥ずかしくもなるけれど。 市谷さんに褒めてもらえたことは、やっぱり嬉しい。 「オレは料理も大して出来ないし、裁縫なんて全く出来ない。 オレから見たら、里佳はなんでも出来るって思うよ。」 頬を優しく撫でられて、心臓が大きく跳ね上がる。 「そ、そんなこと・・・。」 「それに。どんなことでも、里佳がしてくれることはオレにとっては特別だ。」 そう言うと、市谷さんは甘く微笑む。 その彼の表情に、私は吸い込まれるように動きを止めた。 「里佳。」 頬に触れていた手を顎に滑らせると、市谷さんは顔を近づけ、そのまま私に口づけた。 胸の奥で、キュンと甘い音が鳴る。 彼の手が私の後頭部を支えると、キスの深さが増していく。 ドキドキする鼓動を感じながら、私も彼に応えるように、彼の背中に腕を回す。
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