6.幸せの階段

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結局、マンションにたどり着くまで、市谷さんはずっと不機嫌な顔のままだった。 怒らせちゃったな・・・という気持ちを抱えながら、車の中で言われた、挑発するような彼の言葉を思い出す。 不安と緊張が入り混じったような想いで、ドキドキと、私は彼の後ろをついていく。 市谷さんは時折振り返っては、私に目を向けてくれるけど、その表情は、やっぱり怒ったままのようだった。 「入って。」 家の鍵を開けた彼は、玄関に入るよう私を促す。 「はい・・・じゃあ、おじゃまします。」 いつもより緊張しながら、足を一歩踏み入れる。 そのまま、靴を脱ごうとした私の腕を、後ろから市谷さんにつかまれた。 「・・・きゃっ!」 突然のことによろけた身体を、私の両腕をつかんだ彼が支える。 そしてそのまま追い込むように、市谷さんは私を壁に押し当てた。 「里佳、反省してる?」 市谷さんが、至近距離で私を見下ろす。 強引な行為と怒ったままの表情に戸惑って、私は言葉に詰まってしまう。 「・・・してないだろ。」 低く呟くと、彼は片手を伸ばして鍵をかける。 その施錠音にビクリと身体を震わせた瞬間、市谷さんは私に熱っぽく唇を重ねた。
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