6.幸せの階段

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「んんっ・・・ちょっ・・・!」 背中に、ヒンヤリとした壁の温度を感じる。 突然の攻撃に戸惑った私は、角度を変えながら続くキスの合間に、「待った」をかけようと試みるが、うまく言葉が発せない。 身動きが取れないように私を片手で抑えながら、彼のもう一方の手が、ブラウスの裾を潜りだす。 (!!) 冷えた長い指の感触に、私はぎゅっと身を縮める。 たまらず首をすくめた私は、彼のキスからなんとか逃れた。 「ちょっ・・・い、市谷さん・・・!待って・・・!」 「あんまり、待てないけど。」 「で、でも・・・!」 「身体に覚えさせるなら、早い方がいいだろ。」 再び口づけようとする彼を、私は必死でブロックする。 「そう言われても・・・!その・・・こ、ここ・・・玄関だし!!」 彼を見上げて抗議すると、市谷さんは「そうか」と言って意地悪な顔で私に甘く微笑みかける。 「だったら、場所を変えるから。」 「えっ!?」
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