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壁に掛けられた木製の時計の針が、19時の位置を指している。
お店の閉店まで、あと2時間。
雨のためか、ランチ時を過ぎるとお客さんの数はぐっと減り、いまも、一組のカップルがいるだけで、ホールの中はがらんとしていた。
暇つぶしにカウンターの掃除をしていると、玲奈が思い出したように呟いた。
「そうだ。今日、龍平が迎えに来てくれるんだ。」
「そうなの?」
「うん。仕事落ち着いてるみたいだし、雨だから、一人で転んだらあぶないからって。」
「そっかー、いいなあ。優しいね、龍平くん。」
「ふふっ。まあね。」
玲奈のお腹の中には、今、赤ちゃんがいる。
妊娠4か月に入ったところだけれど、つわりもなく、体調は良好だ。
「周りの迷惑にならなければ、ギリギリまで働くよ!」と本人は張り切っている。
「ついでにここでご飯食べて行くって言ってたんだ。
あ、そうそう、龍平の先輩も一緒みたい。」
「へえ・・・。刑事さん、だよね?もちろん。」
「うん。コンビ組んでる人。あ!紹介しようか?かっこいいよ!」
玲奈が名案!とばかりに手をたたく。
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