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そう心の中で決意したとき、キイ、とお店のドアが開く音がした。
「いらっしゃいま・・・せ・・・。」
入り口に向かって元気よく発声したものの、その声は、途中から無音のように消えていく。
お店の中に入ってきたのは、玲奈の旦那様の龍平くんと、先ほど話に出ていたと思われる、龍平くんの先輩だ。
(わ!・・・かっこいい!!)
龍平くんの隣に立つ男性を見て、私はメニュー表を持ったまま、時が止まったように思わずその場で固まってしまった。
想像以上に、かっこいい。
すらりとした長身が纏う、紺色の細身のスーツ。
着崩れた感じが、働いてきた大人の男性特有の色気を醸し出していて、私はドキドキしてしまう。
切れ長の瞳は、一見涼しげに見えるけれど、刑事さん、という先入観からか、どことなく熱い印象を感じ取る。
玲奈が、かっこよさを保証する!と言っていた理由がよくわかった。
「ああ、里佳ちゃん。こんにちは。」
見とれたまま身動きしない私に、龍平くんが右手を挙げて微笑んだ。
「こ、こんにちは!!どうぞっ!」
龍平くんの声にはっと我に返った私は、「こちらです」と言いながら、二人を一番奥の広いテーブル席へと案内した。
緊張のあまり、ガチガチのロボット歩きになる私。
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