エピローグ

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エピローグ

イリヤとユーコフ博士を空港まで送っていった龍一が、再び高広の家に戻ってきた。 もう一度顔を出すとは思わなかったので、高広は不機嫌に迎える。 「何しに来たんだよ」 「DNA鑑定の結果は、どうだったんだ」 龍一は前置きも何もなく、ただ要点だけを聞いてきた。 それは、龍一とイリヤの親子鑑定の話だ。 そういえば、 「……」 すっかり忘れていた。 高広はニヤリと笑って、 「聞きたいか?」 「いらない」 龍一は踵を返して去って行こうとする。 「じゃあ何で来たんだよ!」 思わず突っ込むと、 「では、聞いてやる」 龍一はまたクルリと振り返る。 相変わらず、ものすごくものすごくムカつくヤツだ。 こいつとは、一生わかりあえる気がしない。 高広は、 「――忘れた」 「は?」 「イリヤからDNAを取るのを忘れたんだ。今さら調べられねーよ」 龍一は片眉をピクピクさせて、怒りの爆発を堪えている。 ニヤニヤ笑う高広に、 「お前とは、一生わかりあえそうにない!」 強くそう言い残すと、イヤミなほど靴音を響かせながら帰っていった。 相変わらずお互い、気が合う話だ。      ――了――
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