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10歳の天才博士イリヤ・エレミエフは日本で死んだ。
世界はそう認知している。
だからもうイリヤは、イリヤ・エレミエフとしては生きられない。
だからといって、フェドートヴィチ・ユーコフ博士として生きるとはどういうことだ。
「イリヤがユーコフ博士になる?」
高広には意味がわからない。
龍一は、
「イリヤが帰りたがっているのは、これまで所属していたロシアのラボだ。だがそのラボの権限は、すべてそのフェドートヴィチ・ユーコフ博士が握っている。
だからそのユーコフ博士として、今後イリヤは生きていくと言っているんだ」
「そんなバカな話……」
そう、そんなバカな話が通用するわけがない。
第一、見た目からして違う。
ユーコフ博士はもう老人といっていい年だし、イリヤはまだ子どもだ。
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