48人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし龍一は、
「もちろん、ラボの代表者として表に出てくるのは、そこにいるユーコフ博士になるだろう。だがラボの実権は、イリヤがすべて握る。本人もこのことは了承している」
高広がユーコフ博士を見返すと、博士は静かにうなずいた。
そんなユーコフ博士のしおらしさに、高広はまた度肝を抜かれる。
プライドの高い研究者で、冷徹にイリヤを切り捨てた男の態度とは思えない。
「……どうやったんだ?」
高広の問いに龍一は、
「あのラボに、本物のユーコフ博士は不要と判断した。所詮、イリヤがもう少し年齢を重ねて、表に出られるようになるまでの代理だからな。
だから代理人を立てようと言ったんだが、イリヤが、このユーコフ博士のままでいいと言うから仕方がない、交渉した」
最初のコメントを投稿しよう!