9 デートはおウチに帰るまで

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しかし龍一は、 「もちろん、ラボの代表者として表に出てくるのは、そこにいるユーコフ博士になるだろう。だがラボの実権は、イリヤがすべて握る。本人もこのことは了承している」 高広がユーコフ博士を見返すと、博士は静かにうなずいた。 そんなユーコフ博士のしおらしさに、高広はまた度肝を抜かれる。 プライドの高い研究者で、冷徹にイリヤを切り捨てた男の態度とは思えない。 「……どうやったんだ?」 高広の問いに龍一は、 「あのラボに、本物のユーコフ博士は不要と判断した。所詮、イリヤがもう少し年齢を重ねて、表に出られるようになるまでの代理だからな。 だから代理人を立てようと言ったんだが、イリヤが、このユーコフ博士のままでいいと言うから仕方がない、交渉した」
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