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 「そんで、話の続きな〜」  「おまえ、ションベン長ぇな〜」  「何だっけ?」  「なんで俺たちが貧乏なのか、って話しだろ」  「そう、それよ!おれが思うに、毎週こうやって酒ばっかり飲んでるから、金がないんじゃないかって思うわけよ〜」  「そりゃそうだけどよ〜。酒飲まずに週末を過ごせますか!って話」  「飲まなきゃやってられない世の中だからな〜」  「飲むのはいいんじゃね〜。飲みすぎなきゃ問題ないでしょ〜」   飲みすぎである。最初に買ってきた酒が切れると、だいたいの場合、二人一組でまた酒を買いに行く。それを、いつも二回、三回と繰り返すので、適量の飲酒とはとても言えない。  「でもよ、でもよ。こうして集まるようになってから、酒の量が増えてる気すんだけど?」  「まあ、増えたかな?わかんねーけど」  「誰がどれくらい飲んでるか、憶えてねーしな」  「そりゃ強くなってんだから、しょうがねーだろ〜」  本人たちも、大概飲みすぎの自覚はあるようだが、しかしそこには、酒が強いという自己に陶酔している感もうかがえる。 「まあな〜」  酒の強さは、いつの時代も褒め言葉として受け取られる。青年たちにとっても、それに違いはないようだ。  「じゃあ、どうすりゃいいのよ〜?金はない!酒は飲みたい!あわよくば、可愛い彼女も欲しい!」  「それな〜。1個だけっていうのはどだい無理なハナシ」  「結局、オンナかよ〜」   「あいつはそういうやつ」  「お前らだって、同じだろ〜!金、酒、女だろ〜」と口を尖らせ、唾をとばし、下品な単語で反論する。  「いや、俺らは違うから!そんなに、ガッついてねーから」  どっちもどっちであるが、いつもこの議論になると互いに譲らない。酒を飲む手もおろそかになり、口撃し合う。一通り口汚く罵りあうが、じきにそれにも飽きて、「まあ、人それぞれだからな…じゃあ乾杯」で仲直りである。
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