誇り高き花

5/6
前へ
/6ページ
次へ
「リイネ、それが君の決断か」 寝入りばなに破壊音がしてはっきりと目が覚めた。最初は施設の故障か、災害によるものだと思ったが、建物の振動、音、かすかに届いた火薬の臭いは、意図的に仕掛けられた爆弾だとすぐに気がついた。 「様子がおかしいのは気づいていたけど、まさかここまでやるとはね」 布団の上にあぐらをかいて、両手を組み顎を乗せる。自分の信頼する人間が、牙をむこうとしていることに感動していた。ラキは爆発物に関して詳しい。爆発物だけでなく兵器となりうる液体や気体、物体、全てにおいて精通している。医者は人の命を救うが人の命を奪うこともできる。まさにラキもそうだった。コードをひとつ書き換えるだけで、天国も地獄もつくりだせる。 「リイネはさすがだな」 続けて届いた爆発音で大体、どのあたりに爆弾を仕掛け、リイネがどうしたいのかが把握できた。この研究施設だけでなく、島もろとも吹き飛ばそうとしている。ラキが仮眠室にいる時間帯を狙ったのは、ラキ自身に選ばせるためだということもわかった。生きて研究を続けるか、このまま死ぬか。 ラキは時間のない中、両手を組んだまま考える。すっと目を開くと立ち上がり、ベッドから飛び降りた。 「リイネ、君の計画を少し修正させてもらうよ」 ラキは仮眠室を飛び出して花を育てている温室へと向かった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加