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彼女が帰ってから疑問に思っていた事を店長に聞いてみた。
「何故、お守りがお代になるのですか?」
「お守りは一年で返すべきと言われる事が多いですが、お守りに有効期限はありません。長く持っていればそれだけ、人の気持ちを宿します。また、お守りは神様の御分霊が宿る依代、お守りを大切に扱って、良い状態にしておく事が神様が側に寄りたいと思って下さる条件。彼女は大切に扱っているようでしたから、その分彼女の気持ちを宿し清浄な物になっていますし、神様が側に寄りやすいお守りになっています。これ以上ない対価はないです。」
「これから彼女はどうなるのですか?」
「狐様が憑いている限りは良くならないだろうね、もうずいぶん弱って力がなくなってきている。力が尽きて悪い気にあてられて狐様が墜ちたら、彼女も無事ではいられないだろうね。しかるべき所へ紹介して邪気払いをしてもらわないと。今日渡そうとした薬はそれまでの繫ぎのつもりでした・・・手遅れにならなければ良いのですが。肝心の彼女からの接触がなければ話が先に進みませんから、この話は一旦終わりにしましょう。」
店主はお手上げだとばかりに言った。
「わかりました。」
私は、その後彼女がどうなるのか心配になった。不思議な感じだ、今までは黒いもやに包まれている人を見かけても、その後のことを考えない様にしていた。だって私が何を言っても信じるかどうかはわからない。私が何か言っても仕方がない。どうする事もできない。だから、私は何も言わない。そうして今までやってきた。なのに、今回の件は納得いかない様な、変な感じがする。
(彼女ともう一回話ができないかな・・・)
そんな事を思ってしまった。
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