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彼女が話している間、よく観察してみると、薄く黒いもやが彼女を覆っている。そのもやの発生源は彼女の首元。よく見てみると、小さなキツネがいた。丁度マフラーを巻く様に首に巻き付いているそのキツネ、そこから黒いもやが出ていた。キツネの毛皮も心なしか黒ずんでいる。
「事情はよくわかりました。ところで近所で取り壊しになる様な神社はありませんか?」
店長がいきなり変な事を聞き出した、それに彼女は驚いた様に答えた。
「ええ、幼い頃よく遊びに行った神社が近々とりこわされる様です。昔は近所の人たちはよくお参りに行ったり、盆にはお祭りをしたりして賑やかなところでしたが、ここ10年は世代交代があって廃れてしまって、もうお参りに行く人も居ませんし、お祭りもしていません。」
「そこは狐を祀っていましたか?」
「確か・・・そうだったと思います。」
「わかりました。ここは薬屋です。あなたに丁度良い薬があります。ちょっと待ってて下さいね。」
と、店長は何かを取りに奥に行ってしまった。彼女と二人きり、話題がなくて困る。
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