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「ねえ、あなた。」
と彼女が話しかけてきた
「私の首回りばっかり見ているけど、何かあるの?」
「いや!何もないです。失礼な事して、すみません。」
狐が首周りに居る事なんて言っても信じてもらえないに決まっている。
「その神社と縁が深いのですか?」
「いえそんなに深くはないのですが、小さい頃よくその神社でやっていたお祭りに行っていた事か、よく神社の前を通るので、ついでに何か悩んでいる事があったりすると、どうしましょうお狐様って話しかける事がある程度です。」
十分関係ある。仮初め、都合の良い時だけといっても信仰してくれる人がいれば、その人に寄り添うのが神。信仰心が限りなく薄くなって、その土地にはびこる負の感情が押さえられなくなってきたようだ。それが薄く取り巻く黒いもやの正体だろう。元は真っ白だったはずの狐もそのせいで黒ずんで見えるのだろう。
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