41人が本棚に入れています
本棚に追加
客人が来てから4,5日経った薬局は、いつも通りのんびり営業で時々妖が薬を取りに来る位だった。こんな調子で、お給料は出るのかと心配になっていたが、お給料日にバイト代は確かに振り込まれていたので、どこからお金が出てきたのかは気になるところではあったが、気にしない事にした。
そんな1ヶ月前から当たり前になった日常を過ごしていた、ある日。出勤途中の道で人が倒れていた。それはもうバッタリと。心配になって話しかけようとしたが、店主に言われた、この薬局に来る道で誰かに話しかけたり、話しかけられて答えてはいけませんよ、という言葉が頭をよぎる。何でも、良いものか悪いものか今の私には区別がつかないので危険だそうだ。でも今まさに目の前で倒れているものからは、嫌な感じはしないし、どこか清浄な雰囲気が漂っている。このまま見過ごすのも後味が悪い、私は思いきって話しかけて見る事にした。
「大丈夫ですか?」
すると、人の様なものはうめきながら、こう言った。
「薬師堂薬局へ行きたい・・・。連れてって・・・。」
お客か、それならば仕方がない。担いで行く事にした。
最初のコメントを投稿しよう!