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人一人分の体重に耐えられるかと思ったが、そのひとはまるで紙切れの様に軽かった。
「店長~。お客ですよ。」
薬局に着き、店長に声を掛ける。さて、背負ったままのこのひとはどうしたら良いのだろうか、と思っていると。そのひとに話しかけられた。
「もう大丈夫だよ、ありがとう。久しぶりに外へ出かけたら、外の空気にあてられてね。どうも外は苦手だなあ。」
そうとてものんびりとした感じで、このひと本当に大丈夫かと思った。
「勇さん、道中でなにかに会っても話してはいけないと言っていましたよね。もし、悪い物だったらどうするおつもりだったのですか?今回は害のないものだったから良いものの、感覚は大事だと思いますが、それに頼りすぎてももいけませんよ。」
「はい、申し訳ありません、店長。」
確かに、万が一悪いものを店に持ち込んだりしたら一大事だ、店長に相談してからの方が良かったのかもしれない。
「そんなに責めるものじゃないよ、店長。この子の見分ける力は本物じゃないか、いつの間に弟子なんてとったんだい?」
「弟子じゃありませんよ、桜の精。アルバイトです。そんな事よりもお待ちしていましたよ。」
二人が何か話している間に開店の準備をする。準備と言っても大してすることはない。店の中を掃除して回るくらいだ。
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