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地蔵様が帰った後私は恐る恐る店主に聞いてみた。
「ここって、単なる薬屋さんじゃなかったんですか?」
そう問うと店主は何を言ってるんだという風に言った
「そうですよ、薬屋です。人外御用達のね。たまに人間が来るのでその相談に乗ることもありますよ。」
「さっきのお地蔵様が持って行った薬はどんな薬なの?」
「厄除け地蔵は、人々の厄を引き受ける事が仕事なのですが、ずっと受け続ける事はできません、どこかで厄を祓わないとだめです。その手助けをしているのが、うちの厄払いの薬です。」
なるほど、妖のための薬屋さんというところか・・・私、早まったかもしれない。
「厄が溜まりすぎたらどうなるんですか?」
「お地蔵様の寿命だね。それ自体が厄の塊となってしまう。そうなると手遅れだよ、もし祓う事ができても地蔵様は壊れてしまう。そうならない様、お地蔵様に健康でいてもらう様に、陰ながら手助けをしているのですよ。」
「そうなんですね。」
「勇さんの基本的なお仕事はさっきみたいに訪れた常連の客の対応をお任せしますよ。ご新規さんや大物で手に負えないと思ったら声を掛けて下さい。」
「はあ・・・。」
「じゃあ明日からよろしくお願いします。」
「わかりました。ところで私にさっきから何か憑いているって仰っていましたが、何が憑いているのかご存じなのですか?わたしもよくわからなくて、実家に聞いても、知らない方が良いって言われてしまって。」
「ふむ、特に悪さをするわけではなく、あなたの事を守ってくれているので、害はないです。ご実家の方が仰っているとおり、今は知らなくても良いと思いますよ。」
なんだか煙に巻かれた気分だが、まあ、いつかわかるときがくるのだろうと思った。
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