よし、誘拐しよう

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 むしろそれしか方法がないという結論に至った私は早速準備をした。  まず、誘拐に必要な道具だ。これはスタンガンと結束バンドで十分だろう。スタンガンで気絶させて結束バンドで手足を縛る。一番お手軽で手に入りやすい。スタンガンは親に内緒で宅配ロッカーを使えばいい。そうしたら購入したものはばれないし、ロッカーに取りに行けばいいから家に届いて間違って家族が開けることなんてこともない。  問題は、気絶させて縛った彼をどうやって運ぶかだ。これが一番の難題だ。標準体型の女子高生に、成人した男を担げるわけがない。実際腕力に私は全く自信がない。ならば、運ぶ道具がいるということだ。(なに)で運ぶか……一番楽なのは荷車か。そういえば、広い公園で見かける家族連れがキャリーワゴンってものに子どもと荷物を載せて引きずっていたのを見たことがある。確か彼の体重が62キロだから、耐荷重がいければ運べる。よし、100キロの耐荷重があるキャリーワゴンを手に入れれば完璧。確か折り畳み式に種類がたくさんあったはず。折りたたんで隠しておけば家族にもバレないよね。  誘拐した後はどうしようか? とりあえず二人きりになれる場所が欲しい。二人きりになれる場所――そうだ、ビジネスホテルなんてどうだろう? 一室予約しておけば誘拐してすぐ入れるし、2人きりになれる。そして二人きりになった瞬間彼の隅々を―― 「キャッ」  妄想して、私の全身の血が沸騰して震えた。
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