お金を集めよう

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 2、3度撫でてきた手を私は(はた)いた。   「これ以上のおさわりは追加一万ね!」  お金はなるだけ欲しいから、栄美が千円と言っていたところに0を1つ足して告げた。すると途端にオヤジさんは面白くなさそうな顔をして「おさわりもありなんだろう?」と少し怖い声で言ってきた。 「え? 今触ったじゃん。何それ、契約違反なら帰る」  追加料金言っとけば引き下がるから、と栄美に言われていたのに、全く違う反応をされて気分を害した私は、お金よりも気持ち悪さと気分の悪さが勝り即答した。オヤジさんはその反応が意外だったようで「え? え?」と焦り「き、君、お金欲しいんでしょ?」と尋ねてきた。 「ええ、欲しいです」 「お金欲しいから、何でもするんでしょ?」 「いいえ、何でも()しません」 「あ、あれ? 聞いた話と、違うんだけど」 「そうですね、私も聞いた話と違うんで帰りますね」  お互い聞いた話が違うなら、それは契約が成立すらしていないということだ。折角大金が入ると思ったのに、ここは諦めるしかないな、と踵を返そうとする私に「ごご、ごめん! 僕が間違ってたみたい! さ、遊びに行こうか!」と大慌てで私を引き留めた。
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