お金を集めよう

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「おさわりしない?」 「し、しないしない!」  少しどもったが、まぁ信じることにした。お金欲しいし。  その後は、栄美から聞いた通り一緒に食事をしたりゲームセンターで遊んだりと、向こうのおごりで楽しく過ごすだけだった。割と楽しかったので、これでお金が入るなんてラッキーだなぁ、と心の奥底から栄美に感謝をした。  ここでお開き、というところでオヤジさんは約束の3万円をくれた。これで私の貯金と合わせてほぼ道具が揃うので私は嬉々として受け取った。  ――が、もらい受けようとした瞬間、そのお金は引っ込められた 「なんで?」  睨み上げると、オヤジさんは気持ち悪い下卑た笑みを浮かべながら「あ、あそこに一緒に入ってくれるだけで、5万増えるよ?」と光がチカチカと妙に眩しい看板を指した。  ……入ったことがなくても、漫画とかネットとかその辺の知識でその看板が意味する場所を私は知っている。 「ほ、ほら、いこ――」  私の腕を掴もうとしたソーセージのような指を咄嗟に掴み、私は捻じ曲げた。勢いあまってありえない方向に曲がったが、折れていないのでセーフってことでいいだろう。 「いっ――っ」  声が出ないほどの痛みらしく、オヤジさんの歯の隙間から風が吹き抜けるようなか細い悲鳴が漏れた。 「あ、どうしよう、力加減間違って指折っちゃいそう。……いーい?」  私がにこやかな笑みで問いかけると、オヤジさんの顔から面白いほど血の気が引いていった。一生懸命首を横に振る姿がとても哀れで可哀想になってきたので、私は「金」と要求した。
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