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「ありがとう。もちろん、さすがに無条件でとはいかなかったけどね。でも、これで晴れて、私は王族ではなく、普通の女の子の生活を満喫できるようになるのよ。もういろいろなことを諦めずに済むようになるの!」
サヨは、コトリの物言いに苦笑しながらも、大きく頷いてみせた。
王族は国で最も高貴な身分であり、衣食住を含むあらゆる分野において一流の待遇を受けられる存在である。一方で義務や責任も多く、常に周囲から一挙手一投足が注目される気の遣う職業でもあった。嫉妬を集めたり、危険に晒されることもある。
そのため、コトリと共に酢いも甘いも噛み分けてきたサヨは、ひとまず主の野望が叶いそうなことに心底安堵していた。
「私、亡くなった母上のように、もっともっと外の世界を見てみたいわ。王宮から出ることは、母上の悲願でもあったしね」
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