第四章 帰還

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「いつか襲われるのでは無いかという恐怖に怯える毎日。領主様へ訴えても、被害が出ていないのなら派兵は出来ぬの一点張り。村やここで暮らす人たちの為にはこうするしか無かったんじゃ」  力なく語られる村長の言葉に、村民の中からはすすり泣くような声まで聞こえてきた。村長の言葉は紛れもない真実なのだ。 「本当にそれだけか?」  しかし、戦士は更に問いかけた。 「それだけ、とは?」 「他にも目的があったんじゃないか? 例えば……あの山とかな」  その一言に村長が顔色を変えた。 「どういうことだ」 「あの山はオリハルコンの鉱山だ」  檻の中から問いかける獣の問いに戦士は答えた。 「中で鉱脈を見た。あれだけの量のオリハルコンを採掘出来れば巨万の富が築ける筈だ。それに、そう考えると今になって魔物を邪魔に感じるのも納得がいく。オリハルコンの精製が可能になったのは最近の話だからな」  村長も、村人も、誰も言葉を発しなかった。  しばし気まずい沈黙がその場を支配する。 「何が悪い」  沈黙を破ったのは村長の声だった。 「それの何が悪い! 周りは沼地ばかりで畑を広げることも叶わん。木材を売ることも、漁をすることも厳しい、そんな何もない村じゃ。そんな村がやっと資源になるものを見つけたんじゃ。村を豊かにするために利用して何が悪い。わし等は一生貧乏なまま生きろと言うのか!」  これまで溜め込んでいたものを全て吐き出すかの如く、一気に捲し立てる。それは長く貧困にあえいできた村の訴えでもあった。 「そ、そうだ。村で暮らしてる訳でもないお前に、どうこう言われる筋合いはねぇ!」 「私たちだって普通の暮らしがしたいのよ!」  村人たちが次々に声を上げる。
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