第三章 激戦

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「喰われて……たまるかっ!」  戦士は声を荒げた。  突如、鈍い衝撃が獣を襲う。予想だにしていない反撃に、たまらず獣の身体はもんどり打って地に転がった。 「貴様、化け物か」  地に伏した獣は、信じられぬとばかりに自分を跳ね飛ばしたもの――戦士の拳を見上げた。大剣を手放し、籠手に覆われた拳で力いっぱい獣の横っ面を殴りつけたのだ。  遥かに体躯で勝る獣を殴り飛ばすなど、到底考えられることではない。獣は愕然としていた。 「お前に化け物扱いされる覚えはない。さぁ、覚悟してもらおう」  再び大剣を手に獣へ詰め寄る戦士。 「やむを得んか……」  このままでは敗ける。  本能的に悟った獣は脱兎のごとく駆けだした。 「おい、待て!」  慌てて後を追いかける戦士だったが、素早さでは獣の方に分があった。両者の距離はどんどんと開いていく。  獣は山肌を駆けあがり、山の中腹に開いた洞穴へと逃げ込んだ。
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