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パーティーが開演する時間が迫り、全員で会場へと移動する。
遥菜がエレベーターに乗ろうとしたところで、背の高いがっしりとした男性がいきなり遥菜に近づいてきた。
とっさに遥菜の腕を掴み自分の方へ引き寄せる。
遥菜に近づいて来る男に無性に腹が立った。
男を先にエレベーターに乗せ、俺はその男に鋭い視線を投げつけると兄貴たちに後で行くと告げた。
兄貴たちが先に降りたあと、気がつくと遥菜が俺の方へ顔を向けていた。
「り、理人さん、もう大丈夫です。ぶつかりそうだったのを助けてくれてありがとうございます、私がちゃんと見てなくてすみません」
怖がらせないように遥菜に笑顔を送る。
「いや……。さっきのヤツがこっちを見てなかったんだ。遥菜は悪くないよ」
そう答えた途端、遥菜がよろけ、目に涙を浮かべ始めた。
「ど、どうした? 大丈夫か? 何かあったのか?」
俺は心配で遥菜の顔を覗き込んだ。
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