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遥菜は相当疲れていたようで、車に乗って少しすると目を閉じて眠り始めた。ガクンガクンと落ちる遥菜の頭を自分の肩へ引き寄せる。肩にもたれながら気持ちよさそうに眠っている遥菜を見てなぜか安心する自分がいた。
「遥菜、着いたぞ」
ベイホテルに到着し、なかなか起きない遥菜を起こしていると、目を開けてびっくりした遥菜が車の天井に頭をぶつけた。
「い、痛っ……」
「大丈夫か?」
頭を押さえる遥菜の手の上に、思わず自分の手を重ねてしまう。
「す、すみません……。寝ちゃってたみたいで……」
「そんなことは気にしなくていい。それより大丈夫か? 今激しく車に頭をぶつけていたが」
「だ、だ、大丈夫……です」
「大丈夫ならいい。今、着いたんだ。降りれるか?」
「はっ、はい。す、すぐ降ります」
俺が先に降り、その後遥菜も降りてくる。
遥菜は車から足を出して腰を浮かせた瞬間、今度はドアの枠でゴンっとおでこをぶつけていた。
「奥様大丈夫ですか?」
ドアの前にいた早川が遥菜の顔を覗き込むように近づく。
「遥菜、見せてみろ」
早川が遥菜に触れようとした瞬間、俺は手を伸ばして遥菜を自分の方へ引き寄せた。
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