理人Side④ -初めての気持ち-

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遥菜の顔を両手で挟み、ゆっくりと自分の方へ向ける。 遥菜の顔が真正面に飛び込んできた。 心臓が一瞬ドクッと反応した。 おでこに触れながら、何もなっていないか確かめる。 「痛いか? 少し赤くなってるな。大きな音だったから後で腫れるかもしれないな」 可愛い遥菜の顔が目の前にある。 俺は周りを忘れてこのまま唇を重ねてしまいそうになった。 「いっ、痛くない。痛くないです……。もっ、もう大丈夫です」 遥菜の声に、ふと我に返る。 俺は手に持っていたコートを遥菜の身体にかけ、早川の方に向いた。 「早川、遅くまで悪かったな。後は適当に帰るから。お前も早く帰ってゆっくり休め」 「畏まりました。常務、奥様、お疲れさまでございました。では失礼致します」 「早川さん、今日はありがとうございました。遅くまですみませんでした。本当にありがとうございました」 遥菜が早川に笑顔を向けながら礼を言う。 その笑顔に早川もニコニコと微笑みながら答えていた。 「いえ、奥様。僕もたくさんお話ができてとても楽しかったです。では失礼致します」 遥菜が早川に向ける笑顔でさえ、今日はなんだか腹立たしい。 今日の俺はどうしたんだ? どうしてこんなにイライラするんだ。 ドレス姿の遥菜に欲情しているのか? しばらく女に触れてなかったから興奮しているのか?
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