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「遥菜、あとは自分で取るから、冷めないうちに早く食べろよ」
俺はその話をすぐに切り上げると、遥菜に料理を食べるように促した。
料理を食べ始めた遥菜が今度は眉間に皺を寄せている。
「どうした? 味でもおかしいのか?」
「い、いえ……。これ、美味しいのでお家でも作れるかなとか思って考えていました。すみません」
「家で作る? これを?」
「あっ、こんなに綺麗で華やかなサラダはできませんけど、同じような味で作れるかなと思っただけで……」
遥菜の言葉に、俺も同じサラダを口に入れる。
「まあ、確かに旨いよな。でもこんなもの、家で作れるのか?」
「多分……。ズワイガニの缶詰とホタテの貝柱をオリーブオイルとレモンと塩胡椒でマリネして、アスパラは筋を取ってお塩で湯がいて、ソースは市販のドレッシングで代用したら味だけは似たような感じになるかなと。なんちゃって料理ですけど……」
「じゃあ今度俺がちゃんと再現出来ているか家でチェックするよ。ちなみにこのパスタも作れるのか?」
「このしらすとキャベツのパスタですか? 多分作れると思います」
「ならこの2つな。俺は食事に無頓着すぎるから身体を壊さないためにも食事だけはきちんと取らないといけないんだろ? さっき遥菜がそう言ってたよな? 休みの日、楽しみにしとくよ」
遥菜が嬉しそうな笑顔を俺に向けてくれた。
その笑顔がとても可愛くて、嬉しかった。
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