理人Side④ -初めての気持ち-

19/19
前へ
/519ページ
次へ
遥菜との色々な出来事を思い返しながら、俺は酔いつぶれて俺のベッドで寝ている遥菜の頬にもう一度触れた。 梨香子と別れてからたまに彼女のことを思い出すことはあったけれど、遥菜と出会ってからはそれはほとんどなくなっていた。 そう、俺は今の今まで、梨香子のことはすっかり忘れていた。もう何の感情もなくなっていた。いつの間にか梨香子のことはただの思い出に変化していた。 遥菜の存在が自分の中でとても大きくなっていることに気づく。 こんなに胸が締めつけられる思いは初めてだった。 どうやら俺は遥菜のことを愛してしまったようだ。 遥菜のことが可愛くて愛おしくて堪らない。 このまま遥菜を自分のものにしてしまいたいという感情に揺さぶられてしまう。 だが、遥菜とは契約を結んでいる。 契約期間は1年。 お互い干渉することなく、恋愛感情も発生させることもなく、1年後にきちんと離婚をする──。 俺が遥菜にそう告げている。 遥菜もその条件だから、俺との契約結婚を受け入れてくれた。自分から約束した以上、それは絶対に守らないといけない。 遥菜と一緒にいられるのはあと9ヶ月。 9ヶ月後、俺は遥菜を手放すことができるのだろうか。
/519ページ

最初のコメントを投稿しよう!

117820人が本棚に入れています
本棚に追加