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「理人さん、昨日はすみませんでした。あんなに酔いつぶれてしまって、それに理人さんにまでものすごく迷惑をかけて、本当に本当にごめんなさい。それに勝手に理人さんのベッドで寝てしまって、本当にすみませんでした」
リビングのドアを開けると、俺の顔を見た遥菜がすぐに頭を下げてきた。
朝起きて自分の状況を確認したはずだ。
おそらく相当なダメージを受けているんだろう。
全く顔を上げようとしない。
俺は口元を弓型にして微笑みながら遥菜に声をかけた。
「昨日は楽しかったか?」
ゆっくりと顔を上げた遥菜は、俺の顔を見た途端、涙を零し始めた。
「どうした? 何を泣いているんだ?」
「ごっ、ごめんなさい……」
こいつの性格だ。
朝から今までずっと考えていたんだろう。
そんなに気にすることないのに。
俺は遥菜の頭に触れると、頬に流れた涙を指で拭った。
俺を見上げてじっと視線を向ける顔に、そのまま昨日と同じように抱き締めてしまいそうになる。
俺は遥菜の頬から手を離すと、笑顔を向けた。
「スノーエージェンシーの松村さんと言ったか? 楽しい飲み会だったみたいだな?」
何も言わず頷く遥菜が可愛くて堪らない。
「楽しい飲み会なら良かったな。ちょっと着替えてくる。悪いんだがこれから夕飯を作ってもらえないか? まだ昼飯も食べてなくてな。材料がないなら外に食べに行こうと思うが」
「あっ、あります。作ります。作らせてください!」
遥菜はそう言ってキッチンに移動すると、夜ごはんを作り始めた。
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