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「理人さん、お待たせしました。ごはんができました」
遥菜が俺にそう言いにきたのは、俺が夕飯を作ってほしいとお願いしてからまだ30分ほどしか経っていなかった。
「もう出来たのか?」
「はい……。もしかして早すぎましたか?」
こんなに早くできあがると思っていなかったから、正直びっくりしてしまった。
だが、テーブルの上をみると、これをこんな短時間で作ったのか?というような美味しそうな料理が湯気を立てながら並んでいた。
「これ、何の魚?」
夕飯を食べ始めた俺は箸で粒マスタードのソースでソテーされた魚を口に入れながら遥菜に質問をした。
「えっ、あ、はい、カジキマグロです」
「カジキマグロ? へぇー。なかなか旨いな」
「母がよく作ってくれてました。淡白なお魚なのでどんなお料理にも使えるみたいです」
遥菜がこれだけ料理が上手いのは、あのお母さんが料理が上手いからなんだな。
明るくて楽しかった遥菜の家族が懐かしい。
それを思い出して笑っていると、突然遥菜がテーブルの上に箸を置き、俺の顔を見つめた。
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