理人Side⑤ -穏やかな休日-

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「理人さん、お待たせしました。ごはんができました」 遥菜が俺にそう言いにきたのは、俺が夕飯を作ってほしいとお願いしてからまだ30分ほどしか経っていなかった。 「もう出来たのか?」 「はい……。もしかして早すぎましたか?」 こんなに早くできあがると思っていなかったから、正直びっくりしてしまった。 だが、テーブルの上をみると、これをこんな短時間で作ったのか?というような美味しそうな料理が湯気を立てながら並んでいた。 「これ、何の魚?」 夕飯を食べ始めた俺は箸で粒マスタードのソースでソテーされた魚を口に入れながら遥菜に質問をした。 「えっ、あ、はい、カジキマグロです」 「カジキマグロ? へぇー。なかなか旨いな」 「母がよく作ってくれてました。淡白なお魚なのでどんなお料理にも使えるみたいです」 遥菜がこれだけ料理が上手いのは、あのお母さんが料理が上手いからなんだな。 明るくて楽しかった遥菜の家族が懐かしい。 それを思い出して笑っていると、突然遥菜がテーブルの上に箸を置き、俺の顔を見つめた。
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