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「理人さん、昨日は本当にすみませんでした。ご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした」
「いや、遥菜も色々とストレスが溜まっていたんだろ。それはもう気にしなくていいよ。ただな、お互い干渉しないと約束をしたとはいえ、やっぱり女性が夜遅く帰ってくるとなると俺も心配になる。だからこれからは10時を過ぎるようだったらちゃんと連絡しろ。そして電車じゃなくてタクシーで帰ってくること。契約には反するが、もし遥菜に何かあったとしたら俺も遥菜の両親に申し訳が立たない。だからこれは追加の約束だ」
お互い干渉はしないと約束したとはいえ、やっぱり帰って来るのが遅いと気になって仕方がない。
遥菜への感情を認識した今、できれば夜は外出してほしくないが、俺にそんなことを言う権利はない。
だとすると、帰りが10時過ぎるようだと俺に連絡をしてもらい、遅くなるようなら必ずタクシーで帰るように言っておけばとりあえずの心配は回避できるはずだ。
「わかりました。すみません。これからはこんなことが無いように絶対に気をつけます。それと、昨日は理人さんのベッドまで使わせてもらったみたいで……。だから理人さんはソファーで寝られたんですよね? 本当にすみませんでした」
「あ、ああ、それは許可なく遥菜の部屋に入るのもどうかと思って俺が勝手にしたことだ。別に気にすることはないよ」
昨日、俺が遥菜を抱き締めたことは何も思ってないのだろうか?
遥菜に触れたときに嗅いだ甘い香りを思い出し、顔が少し上気してくる。
聞いてみたい気もするが、遥菜の性格ならそれを一番に言ってくるはずだ。言ってこないところを見ると、もしかして記憶がないのだろうか?
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