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「遥菜」
名前を呼ぶと、なんだかとても驚いたように声を上げた。
「はっ、はっ、はい……」
「今日はどうしたんだ? 何をそんなにガチガチに固まっているんだ?」
「あ、えっと、あの……、なっ、なんか、くっ、車が速いなぁと……」
どういうわけか、しどろもどろになりながら顔を引き攣らせている。
もしかして、車を飛ばし過ぎたか……。
車高が低いとスピード感があるからな。
もう少し速度を落とした方がよかったか……。
「この車はフェラーリだからな。速いと怖いか?」
「いっ、いえ、全然。だっ、大丈夫です」
今度は急に頬に手を当てて、嬉しそうな顔をし始めた。
よく分からないが、とにかく仕草が可愛い。
俺は込み上げてくる笑みを堪えながら運転を続けた。
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